私の短編猫小説-2「あなたの家に猫がやってきた理由」

あなたの家に猫がやってきた理由 NO2

1 娘のところへどうやって行くのか?

2 成長を見守る健太の様子

3 人間にとっていったい何が幸せなのか

前回の物語はこちらです!

私の短編猫小説-1「あなたの家に猫がやってきた理由」 - 保護猫モモ&ナナのブログ!

 

なんだか変な展開になったなと感じながらも、自分の置かれている立場が微妙に面白いかもと思い始めた健太は、ミカエルにこう尋ねました。

「あのさ、ところでどうやって娘のもとへ行くの?」

ミカエルはニッコリと笑顔でつぎのように教えてくれました!

「譲渡会というところにあなたの娘が行くように仕組みましたので、そこで出会って連れて帰ってもらいます。あなたの娘は白猫がほしいと思っているので、今回の体は白猫に決定ということでよろしいですね!」

「ってか、俺に権利ないじゃん、全部AIが決めてんだしさぁ・・・」

そう言い終わらないうちに、ミカエルに額の真ん中を触られ健太は気絶してしまいました!

娘のところへどうやって行くのか?

その後ふっと目覚めると、ざわざわとした部屋の中にいることに気づきキョロキョロすると・・・!!!

事前に知らされていたとはいえ、まさかの状態に一瞬あっけにとられた健太ですが、自分が白い子猫になっていることは周りが猫だらけという様子を見ればすぐに理解出来たのです。

健太の娘は生後まだ3ヶ月です!

それなのに、ミカエルは白猫を欲しがっていると言いましたが、天使が言うのだからそうなんだろうとなんの疑いもなく健太はその娘の出現を待っていました!

まだ生まれて生後3ヶ月ほどの子猫の健太は、母猫やきょうだい猫と一緒に生まれてすぐに保護団体に保護された恵まれた猫でした。

あまりにも小さかったため、譲渡会に出すのは3ヶ月経ってからと団体の人たちが決め今日がそのお披露目の日となったのでした!

 そもそも、なぜまだ生後3ヶ月の娘のもとへ行けることになったのか、娘側の事情をまずはご説明していきましょう!

健太の子供を生んだ女性の名前は玲子25歳、親のやっている喫茶店を手伝いながら娘をシングルマザーとして一人で育てる覚悟をしたのです。

一人娘の玲子は将来この家業の喫茶店を継いでいくことになるのですが、そのため今後の経営方針を親と話しあったのです!

 そのときに、将来的な展望を考えて猫を置いて猫カフェならぬ猫喫茶店を目指そうというアイデアを両親に告げたところ、確か2018年現在の日本は猫ブーム到来で犬の飼育率を猫が超えたというニュースが流れていたのを数日前に観ていた両親は、それは良いと大賛成をしてくれました!

ちょうど孫となる健太の娘が生まれて数ヶ月経っていて、この子と一緒に成長する猫がいれば子供の情緒に良い影響を与えるだろうということで話もまとまり、結果的に娘のそばに猫となった健太がやってこられる道が開かれたのです!

譲渡会にやってきたのは健太の娘を抱いた玲子と両親の4人、はじめからどんな猫にするかは一切考えず出会いに期待してやってきたのです!

会場にいるさまざまな猫を観ながらどんな子が良いか観ていると、なんと生まれて数ヶ月の赤ん坊が「あーあー」といって一匹の猫を指さしたのです。

その指の先にいるのは・・・白い子猫でした!

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茶店という場所ですからきれいめな色の猫が良いなぁとは思っていた玲子ですが、その白猫を観た瞬間「この子がいいな」と直感で感じ、抱いている娘を近寄らせてみたところ・・・娘はキャッキャッと笑い上機嫌で白猫の頭を触ったのです!

それを観た両親も、これはこの白猫とご縁があるということだろうと感じ、早速譲渡してもらう手続きを取り、無事に健太は娘の家に入ることが出来たのです!

 成長を見守る健太の様子

ここからは、健太が娘とどう生活していくのか、その様子を紹介していきましょう!

玲子の働く喫茶店の名前は「アーユルヴェーダ」、インドに行った経験がある父親がそこでアーユルヴェーダという世界三大医療に出会い、その思想に感銘を受け店の名前にしてお客様にくつろいでもらえるお店にしたいと考え名付けたのでした!

そこに白猫がやってきたので、今度はどんな名前にしようかみんなで話し合い、白猫の名前はララに決定しました!

理由は女の子らしいということと、白猫にピッタリだという感覚と、お客様に覚えてもらいやすいから!

 ララは自宅続きの店と家を行ったり来たり出来る環境の中で生活することになりました!

玲子の生んだ娘の名前は「響子」、健太は娘の響子の成長を見守りながら情緒に良い影響を与え、さらには役目をしっかりとやることで自分の成長へとつなげていけるという摩訶不思議な人生を送ることになったのです!

 朝響子が目覚めると、白猫のララはそばに寄り添いいつも一緒に過ごしていました。

そしてときには店を巡回し、お客様に挨拶をしたり撫でられたりしながら、のんびりと日々を暮らしていたのです。

そんなある日、響子がいきなりララにおしゃべりをし始めたのです!

それは、人間が猫に向かって喋るということではなく、はっきりと猫の健太にも分かるようにまるでテレパシーのように話しかけてくるようになったというわけなので、玲子や両親、お客様には会話が聞こえない奇妙なシステムで話をするようになったと考えてもらえるとわかりやすいでしょう!

それは、ある日の朝突然に始まりました!

「ねぇ、生まれてくる前にミカエルから聞いたから知ってるよ、死んじゃったパパなんでしょ?」

そう言われてぎょっとしたララは、黙ったまま響子の話を聞いていました!

「私の成長を見守り、人間として生きるために大事なアドバイスをしてくれるんでしょ?」

・・・ララはさらに黙ったまま耳を傾けてみました!

「もうね、私達世代の人間はこれまでのシステムを受け継いで生きることをしないことに同意して生まれてきているの。これまで大人気だった犬の人気が猫にとって変わられたのには理由があって、それはもっともっと人間が自由に誰にも従うことなく、だけど誰とも敵対し合うことなく生きる世界を作っていくための始まりの合図だったんだよ!」

「それで猫がこんなにも大人気になったの?」

「そう、猫は自由で気ままで清潔好きで、誰にも媚びることなく生きながらも、猫好きの人たちとは上手に共存できているし、そもそも家猫になるとほぼ引きこもり猫が多いから、ネット社会が広がって世界では猫のように生きる人がどんどん増えているのも当たり前なの!」

「じゃぁ、どんな世界が広がるの?」

思わず前のめりになってララが響子に聞いてみると、こんな答えが帰ってきたのです!

「誰とも競争しない、争わない、答えがあるんじゃなくて経験から一人ひとりが学んだことをシェアし合うことで共感されながら影響を与えあって、新しい進化のプロセスを生きるの!」

 猫として生まれてきた健太には、その言葉の意味がすぐに理解出来ました!

ですから、健太は自分が人間として生きた経験をシェアするのではなく、猫としての役割で人間に何かを伝える媒体となっていることを、響子の話を聞いて再度認識し直したのです。

そう、ララとして生きる健太には別の可能性が数多くインプットされていて、それを伝えながら響子の情緒に影響を与えつつ、成長を助けていく役割を担っているというわけなのです!

 そのためには、響子と話をする状態にしなければなりません、ですからミカエルがうまく細工をして、猫の健太と人間の響子が話をすることが出来る回路を開いてくれたのです!

こうやって一匹と一人は、お互いに影響を与え合うために必要なコミュニケーション能力を授かったのです!

人間にとっていったい何が幸せなのか

このように始まった一見人間の脳みそだけで見ると奇妙にも思えるララと響子の関係は、お互いの成長のための大切な時間となったので!

日々、ララは家と喫茶店を行き来し、響子は人間の子供としてすくすくと成長しやがて保育園に通い始めるようになりました。

ここで家族から離れて他人と一緒に生きる時間を過ごすようになり、響子はさまざまな経験をすることになりました。

保育園では友達と向き合う時間が多くなり、人間としての世界観をどんどん探求していくようになった響子は、日々驚くほどのスピードで成長をしていきました!

喋る言葉の種類も増えていき、複雑な感情を見事に操りながらそれまでの人間とは全く違う生き方をする姿に、大人たちも驚かされています。

例えば、響子世代の子どもたちは他人と争うとか競争することもなく、上から教育される世界観を蹴飛ばして、自分の好みの世界観を見事に表現しながら日々笑顔で過ごすのです。

叱られるということも、怒られるということも受け入れずすべてスルーし、私はこう思うんだという主張を子供ながらもはっきりとするのです。

そして、理屈ではなく経験から多くのことを学び吸収し、これまでの人間の世界のしすテムだったまずは情報を詰め込むという生き方ではなく、真逆の経験を積み重ねることを優先し知識を同時並行で理解して、自分の中に落とし込んでいくという学び方を誰に教わったわけでもないのに勝手に実践して、自画自賛をしながら日々を生きる姿に、周囲の大人たちはあっけに取られてしまいました。

これまでの人間にとって不思議な響子の生き方は、じつは猫や自然界にとっては当たり前で普通のことだという真実に、ようやく大人たちも目覚め始める準備が出来たのが、ミカエルにははっきりと見えるようになりました。

そう、実は猫ブームは神々の世界で仕掛けられた、ある種の人間界大どんでん返しひっくり返し作戦の一つでもあったのです!

輪廻転生が禁止され、天界が大騒ぎになりその変化に便乗して天使軍団はここぞとばかりに人間界の生き方刷新にテコ入れをしていった結果、世界はまったく違う世界観が広がっていったのです。

AIの発展、さらにはどんどん多様化する考え方+テクノロジーの発達による大掛かりな変化は、今後猫を通してさまざまなエネルギーを人間の世界に送るために猫を上手に活用して変化を促進しているのです!

もっと自由に、自分の得意なことを活かし、やりたいことを表現しながら喜びに包まれて生きる世界で響子たちは生きることになるのです!

すでにその変化はどんどん起こっていてネットで仕事をし、時間に縛られることなく生きる人も増えています!

画一的だった人間の生き方は多様化を拡大していきながら、今後驚くほどの変化の時代を人間は受け入れながら、その人だけにしか表現できない生き方をしていくことになるのです。

そんな変化が始まったよという合図が猫ブームであり、あなたの家に猫がやってきた理由の一つでもあると考えるとワクワクしてきますよね!

~続く~